やさしい民俗学講座

放送大学1学期面接授業として、群馬学習センターで2022年5月28日(土)・29日(日)に「やさしい民俗学講座」【板橋春夫先生】を受講してきた。

やさしい民俗学講座
授業テーマ
1 年はいつ取るのか?
2 なぜお守りを持っているのか?
3 川は誰のものか?
4 鬼が出てくるのはなぜか?
5 お中元とお歳暮はなぜするのか?
6 災害は忘れた頃にやってくる?
7 葬式に赤飯が出たら?
8 世間体はなぜ気になる?
終了のテスト

一つ一つのテーマは、日常の何でもないことだが、板橋先生のお話が面白く、とても引き込まれた。受講生の質問にも丁寧に答えられて、それぞれの地方での違いなども興味深かった。講座の内容をまとめたレジュメから、論文のまとめ方も話されていた。今書きかけて止まっているレポートも、なかなかまとめ方が決まらずに悩んでいたが、その問題も解決できた。

講座内容の中で、節句が四つあるが、特に元旦を挟んだ正月の行事は、幼い頃の田舎で経験した過ごし方とは違っていた。父の実家は古い神道に則った儀礼を用いていた。そのために世間の過ごし方とはかなり違っていたようだ。その事も興味が沸いてきた。

現在では見られなくなった行事や、人との付き合い方など、長く生きてきたせいか全てが得心がいった。ただ葬儀で赤飯が出ていたというのは初めて知った。先生も二十数年前の調査で、古老に葬儀での赤飯について聞いたら、不快感を示したという。明治3年の香典帳の記録を見たら、赤飯が書かれていて皆驚いたそうだ。

この赤飯は親族の近いものが用意し、特にお世話になった人に配ったようだ。赤飯ではないが、40年も昔になるが、母が亡くなった時には、父の弟妹が粗品のようなものを用意して、町内や付き合いのあった人に配っていた。町内のお手伝いの人には、お手伝いのお礼として別に用意してあったような気がする。30年くらい前の父の葬儀では、町内のお手伝いの人達みなに、ポチ袋で寸志を配っていた。その時には全員が同じになってた。そして今は、コロナの影響もあり、葬儀は簡素になり、お清めの席も設けることなく終わるようになった。町会総出という習慣も何となく無くなり、親族だけの葬儀になった。良いのかどうなのか・・・。

節句の過ごし方などは、完全に父の実家とは違っていた。違っていたといっても、祖父が亡くなってからは、そういう行事も消えたようだ。春と秋には、家長が一室にこもり祝詞を上げて夜を通す。数回だけ祖父と二人で夜通し過ごしたが、祖父も消えていく行事を見せておきたかったのだろう。春は豊作と村人の健康祈願、秋は収穫の感謝、年末は村人や親戚が集まり料理や餅つきをし、31日から元旦は遠いご先祖様に感謝して静かに過ごす。2日からは人が訪ねてきて年始の挨拶をした。15日だけは女性は家事一切をしなくても良い日だった。それが過ぎると、1年の始まりとなる。

面接授業を受けて、遠い記憶がよみがえり、祖父と過ごした時間を懐かしく思い起こした。

また板橋先生の講座が開かれるようなら、ぜひ参加したい。なお、最終試験はかなりやさしいもので、受講中に聞いてれば1分もかからずに解答できる。

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