清水希容さん銀メダル

TOKYOU2020、東京オリンピック、女子空手「形」。決勝戦は予想通りのスペインのサンドラ・サンチェス選手と、日本の清水希容選手、両者ともに予想通りの形「チャタンヤラクーサンクー」だった。結果はサンドラ・サンチェス選手の金メダル、清水希容選手は銀メダルになった。

メダルの色に関係なく、決勝戦の演武は、金メダルのサンチェス選手ともども感動を与えてもらった。とても素晴らしい演武だった。サンチェス選手の演武は、全く気の抜けない「剛」の攻撃を感じた。開始より終始、力強い気迫とを感じた。対し、清水希容選手の形は、剛と柔に緩急の有る切れの動きで、美しさと切れのある攻撃技に魅了された。ジャンプも足を引いて綺麗な力強い、高く安定した動きだった。

採点は微妙な差だった。審判の感じ方がこの差になったと思う。常に強さを前面に出した、スポーツ空手の攻撃的なサンチェス選手。美しい流れの中でも、厳しい攻撃としなやかな動きの、武道を感じさせる清水選手。甲乙付けがたい素晴らしい演武だった。魅了された。

清水希容選手のファンで、若ければストーカーになって付きまとい、蹴りを入れてもらいたいくらいだ。形の美しさと動きの流れ、そして凜々しい顔立ちと、全てが良い。金とか銀のメダルよりも、いつまでも空手界のために活躍して欲しい。テレビの画面で見る、インタビューの時や日常の立ち居振る舞い、武道に励み、道を究めようとする姿にも感激する。

男子形では、予想通り喜友名諒選手が金メダルを獲得した。銀はスペインのダミアン・キンテロ選手。両者ともに気迫のこもった、力強い演武だった。

オリンピックの空手を見て、武道としての空手道というよりも、スポーツ空手になったように感じた。男子空手形は、激しい攻撃性で通していた。喜友名諒選手の厳しい構えと、鋭い眼力は、その姿だけで怖さを感じた。女子空手形の演武も、攻撃的な激しさを感じた。その中で清水選手は厳しさの中に「幽玄」と「美」、激しさの中に雄大な拡がりも感じられる、武道の精神が有ると思った。精神性とスポーツ、世界に広がるには「道」という考え方は必要無いのだろうか。組み手もスポーツになったと感じた。

気持ちを静めて、清水希容さんの愛読書『猫の妙術』を読む事にする。武道の道は、スポーツでは無い。己を如何に高めていくのか、戦う前に既に勝つ、修行は相手に対する勝ち負けでは無く、自分自身に勝つための者だろう。清水希容さんの形には、スピードと「キレ」と「タメ」、気の充実と残心の中に「幽玄の美」を感じる。後進の育成と大会での勝負、そして何よりも武道家として成長した姿を見たい。

コメントを残す