本物の草津温泉時間湯に入りたいが・・・

草津温泉の時間湯に入りたい。少し鬱状態でもあるのか、何もする気になれない。草津温泉の効能は、ケガや傷、皮膚疾患に効果ありと言われてるが、正しい時間湯の入り方をすると、鬱状態から脱する事が出来る。はたして他の人にも効果は有るのかは分からないが、妻が元気なときには落ち込むと連泊で草津温泉に来ていた。

最近、草津温泉が観光地化されて、賑わいが増してる。町民にとっては良い事なのかもしれないが、本物の草津温泉が消えていくように感じて、寂しく感じられる。何よりも「源泉主義」を掲げながら、源泉使用の歴史も文化も、いつの間にか消えて無くなり、観光地化してしまった。各所の温度も下げられて、本来の湯治の意味を失っていくようで悲しい。あれほどの草津温泉特有の高温源泉が、入りやすい単なる強酸性泉に成り下がってしまった。あの高温の源泉が、入りやすい温度まで下げる、町の方針で簡単にできてしまう、その方法には逆に興味が有る。

町の方針に合わないと、湯長と副湯長は解雇され、草津温泉を研究されていた町職員も去ってしまった。一部の人達に知られてる、本物の時間湯を守ろうとする一般の人達が、わずかに伝統を守るために頑張ってるようだ。

草津温泉:時間湯

草津温泉で江戸時代後期から始められ、明治期に確立された伝統的な湯治療法。湯長の指示により、湯もみ・掛け湯・入湯の3工程を、1回入浴3分間、1日4回まで入浴する。入浴前に持病等について湯長に伝え、入浴方法や注意点などの説明を受ける。「千代の湯」は体験入浴で「地蔵の湯」は本格的な湯治用になってる。【2021年3月で、草津温泉時間湯は町の方針で廃止され、江戸時代後期よりの伝統的湯長制度も完全撤廃された】

湯もみ:「草津節」などの歌に合わせて、湯をもむ事で48度程度まで湯温を下げる。湯もみをする事で、皮膚に対する柔らかさが出来てくる。湯もみは準備体操のようなもので、湯もみで上がった湯気を、大きく吸い込む効果も有る。

掛け湯:足下に10杯の掛け湯をする。次に下半身に10杯、頭にタオルを掛けて10杯、股間部を洗う。

入浴:湯長のかけ声で、静かに入る。深いので充分に気をつける。入浴中は背筋を伸ばし、腹式呼吸で静かに呼吸をする。時間ごとに掛ける湯長の声に応じて、大きな声で返事をする。

効能:身体にとって危険な高温湯に入る事で、HSP70というタンパク質が急激に作られ、細胞レベルでの損傷の回復を行う。強酸性泉という温泉の効能と共に、時間湯の効果も相まって、皮膚病やアトピー性皮膚炎、骨折や打撲の後遺症などにも効果があると言われてる。歴代湯長は皆、様々な病気やけがを抱えて草津温泉の時間湯で治癒し、その経験から多くの人々から推挙されて湯長となった。48度という温度は明治期頃に決まったようで、湯温の管理や入浴中の体調変化などは湯長が見守ってる。時間湯での事故は過去に起きていないと聞いてる。地元以外、観光客が地元用の共同湯に入る事も出来るが、48度よりも低い温度でも、草津温泉は高温なので、自己管理が出来ないと危険。

2021年3月現在、草津町の方針により、長く続いた伝統的湯長制度は廃止された。「千代の湯」での体験入浴は残ってるが、温度は低くなり、「伝統的湯治法、草津温泉時間湯」の体験用施設になった。「地蔵の湯」は2021年3月で完全に廃止され、江戸期から続く草津温泉時間湯は完全撤廃となった。観光客の入りやすい温度になり、本来の湯治目的は完全に無くなってしまった。個人的には、これで草津温泉の魅力は全く無くなってしまった。ランドマークとしての湯畑と、花火や夜間のライトアップなど、観光として初めて来る人には楽しめるかもしれない。湯畑以外にも、裏路地を散策する楽しさがあったが、「地蔵の湯」周辺も観光地として開発され、湯の町としての情緒も消えてしまった。

草津温泉の泉質・湯量・時間湯などの歴史的利用法と伝統的旅館建築などから、第1級の日本温泉地域資産として認定された。「日本温泉地域学会」は、2002年5月11日、この草津温泉の地で設立された。時間湯の完全撤廃に伴い、毎年行われていた、日本温泉地域学会と草津町の共催「温泉観光士」講習会も、2019年が最後となった。2021年現在、熱海市と共催で「温泉観光士」講習会が隔年で行われている。

草津温泉の未来とか、観光地化や財政とかは全く興味も無い。体調不良を治し、傷を癒やし、転地療法でリフレッシュしたいだけだ。

標高1,800mを超える高原の空気と、源泉掛け流しの白濁とした温泉、隣の万座温泉だけが残された湯治用の温泉地なのかな。本当は切実に、頸椎ヘルニア・肩腱板断裂と若干の老人性鬱の改善のために、本物の草津温泉時間湯で湯治したいのだが。自分自身の中では、もう草津温泉は終わった。

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