まるほん旅館|中之条町沢渡温泉

群馬県の温泉地の中でも、草津温泉の「仕上げ湯」ともいわれてきたが、まさに「一浴玉の肌」と称される沢渡温泉、その源泉井横に立つまるほん旅館に泊まってきた。

まるほん旅館というと、温泉好きの間では有名な話がある。今のご主人は元銀行マンで、先代が高齢で後継者もなく廃業を考えたとき、江戸時代から続くまるほん旅館を絶えさせてはならないと、努力奮闘をされたと聞いた。源泉を守り、湯宿としての伝統を守るという条件に合う引受先が見つからなかった。ついにまるほん旅館を守るために、自分自身が銀行を退社して先代に婿入りして、後継者になったそうだ。突然、夫に付き合わされる事になった奥様の「男のロマンは女の不満」との名言まであるそうだ。

沢渡温泉は狭い道の坂を上る。温泉地全体が落ち着いた雰囲気がある、湯治に向いてる静かな町だった。まるほん旅館の横には共同浴場が並んでる。この共同浴場も源泉掛け流し、だから熱い源泉そのままで、温泉好きにはたまらないだろう。

共同浴場の隣がまるほん旅館

沢渡温泉共同浴場

沢渡温泉の泉質と適応症

泉質は「カルシウム・ナトリウムー硫酸塩・塩化物泉(低張性アルカリ性高温泉):含食塩ー石膏泉」。蒸発残留物、1.18g/kg。pH、8.5。泉温、55.1度。

沢渡温泉の適応症は、一般的適応症の他、きりきず・末梢循環障害・冷え性・うつ状態・皮膚乾燥症。

俗に「草津温泉の仕上げ湯」ともいわれてきた。草津温泉の強酸性で荒れた肌に、アルカリ性の柔らかい泉質が良い。温泉地全体が山間部にあり、森林気候・高地気候という地形療法としても優れている。この地形療法と温泉の泉質を活かして、群馬県医師会群馬リハビリテーション病院という大きなリハビリ専門病院もある。

 

沢渡温泉にはコンビニも無いし、遊ぶような所も無い。食堂が数軒しかない。まるほん旅館から300mに上沢渡川が流れ、晩釣せせらぎ公園が整備されてる。よしのやという蕎麦店裏に、見晴公園がある。急坂だが、澤渡神社もある。湯治として、温泉を楽しむと共に、散歩をするのも良いかもしれない。

まるほん旅館の館内

昔の雰囲気を残した内湯は、ただただ素晴らしい。内湯大風呂は混浴で、時間帯によって男女を入れ替えしてる。女性用の風呂はグッドデザイン賞を受けた、独特の作りで、熱湯だが天井が高く出入り口は開放されて、長湯が出来る。

まるほん旅館から内湯への渡り廊下

渡り廊下に降りる階段

内湯、大風呂。写真よりも素晴らしいと推薦されたが、本当に良い宿だと思う。この日はコロナの影響と平日ということもあり、宿泊客は7組程度で、ご夫婦で来られてる方ばかりで、一人旅の独身は私一人で、・・・許可も得ずに写真を撮ってしまったが・・・。

内湯への渡り廊下。左は共同浴場。

渡り廊下を右に曲がり階段を降りる

湯の中には湯ノ花が、まるでティッシュペーパーが沈んでるように見える。大きな真っ白の湯ノ花。

女性用内風呂。吹き抜けが高い。

女性用内風呂、入り口は開放されてる。

独特な設計の湯上がり休憩椅子と、外の眺め。

この先は貸し切り風呂

左が内湯、前が源泉湧出井。

夕食は食堂で

けっこう美味しかった

一人旅の部屋

部屋は清潔で、冷蔵庫や電動式の新しいトイレが付いてた。温泉地全体が静かで、館内も家庭的でゆったりと過ごせる。

チェックインの時に館内の説明を受け、食事は食事所で、それ以外は特に誰とも接することはなく、ノンビリ出来る。近くのコンビニも無いし、買い物はリハビリテーション病院近くの店だけ。部屋に冷蔵庫があるので、行く前に買い物をして持ち込みをした方が良いと思う。

宿周辺の様子:2020.7.3

記録として、沢渡温泉の写真を。この宿か、あるいは龍鳴館を訪ねたい。ここは立ち寄り湯としてよりも、時間に余裕を持って宿の湯を楽しみたい。小さな温泉地だが、湯治としては観光地化されなく、ゆっくりと過ごせて良い。

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