今年も蒲田での「温泉観光実践士養成講座」が、11月の23日(土)・24日(日)に行われ、参加してきた。温泉といっても、みる方向、切り口によって様々な取り組みが出来る、いつもの事ながら実感してきた。今回は特に印象に残ったのが、フランス人の銭湯大使ステファニーさんの話だった。とても美しい方だったが、それ以上に日本文化としての銭湯に対しての捉え方に感激した。初日の懇親会は、例年の如く温泉ソムリエのオフ会さながらのようだった。同席した初対面の人達は、皆温泉ソムリエで、直ぐに親しくなれた。
1日目:11月23日(土)受付10:30
講義① 純温泉とは~純温泉で観光実践する~
純温泉協会代表 山口貴史
純温泉を五つのタイプ、AからEに分け(温泉の優劣の順位ではない)これに当てはまる温泉を純温泉として認定するという。詳細は純温泉協会のサイトで。
A・・・完全放流式・加水なし・加温なし・循環ろ過なし・消毒なし・入浴剤なし
B・・・完全放流式・加水あり(源泉の個性を損なわない程度)・加温なし・循環ろ過なし・消毒なし・入浴剤なし
C・・・完全放流式・加水なし・加温あり・循環ろ過なし・消毒なし・入浴剤なし
D・・・完全放流式・噴気造成泉・循環ろ過なし・消毒なし・入浴剤なし
E・・・溜湯方式(貸切利用かつ1組毎に換水)・循環ろ過なし・消毒なし・入浴剤なし
言うように「オーガニックな温泉」は理想だが、多くの温浴施設は保健所の考え方次第で、その時の担当者の知識によって変わってしまう。レジオネラ菌に関しては、水道水などの水質基準には規定はない。温浴施設だけに厳しい基準を設けているが、湧出量が多ければ問題は無いと思うし、常に配管や湯槽の清掃が出来ていれば、あるいは次亜塩素酸以外にも清掃方はある。厳しくみると、多くの自治体の管理下にある日帰り温泉などは純温泉の認定はされないだろう。
講義② 温泉地の健康ツアーの作り方
赤倉温泉観光協会会長 遠間和広

入浴と健康体操についてがメインだった。赤倉温泉のパンフレットに、入浴での健康体操が載ってるが、詳しくその説明があった。同時に「温泉地の活性化法」としての講義もあった。地域の魅力の「磨き上げ」について、興味があったが、時間が短かった。より詳しくは「地域活性化法」のステップアップセミナーに参加するしかないのかな。
講義③ ムスリムの温泉入浴法
高崎商科大学教授 杉山維彦
イスラム教についての詳しい話があった。イスラム教については、ジハードと聞くとテロという言葉に結び付き、怖いという印象だった。改めて宗教観について知れば、考え方は違っても同じ人間として暮らしていけると思う。
講義④ フランス人銭湯大使からみた銭湯の魅力
日本銭湯文化協会公認銭湯大使 ステファニー・コロイン
始めにフランスでの入浴についての話があった。歴史的に面白い内容だった。そして、なぜ日本の銭湯が好きに成ったのかとの体験も聞いた。日本で孤独感を味わったときに、銭湯に行き地元の人との会話に癒やされたそうだ。
銭湯は体の健康と心の健康に良いという。体の健康に関しては、多くは井戸水を使用してるので、水道水よりも成分が多い。心の健康に関しては地域の人とのコミュニティ、マナーを教えられる、心のふれあいがある、地域の情報ステーションでもある、など人との強い関係が築けるという。更には銭湯独特の建築や、銭湯のペンキ絵の素晴らしさ、そういう芸術的な見方も出来るようだ。
東京の銭湯に関して『フランス女子の東京銭湯めぐり 』という本も書いてる。全国を回って、各地の銭湯もみてるようで、早く全国の個性的な銭湯の本も書いてもらいたい。
【基調講演】温泉の話題(つまみ食い)
(公財)中央温泉研究所 甘露寺泰雄
残念ながら不参加
懇親会:台湾菜館弘城
例年の如く、東京での温泉観光実践士講座は9割が温泉ソムリエが参加してるようだ。懇親会は全国の温泉ソムリエのオフ会のような状況になる。別府温泉の別府ハ湯名人会とかニセコ温泉部とか、地域活性化のための大きな力が感じられる。群馬県も温泉大国だ。温泉観光地日本一に安住することなく、一部の温泉地だけではなく県内各地のまとまりと活性化が出来れば良いのだが。
2日目:11月24日(日)受付9:30
講義⑤「温泉百名山」選定に向けて
温泉紀行ライター 飯出敏夫
「日本百名山」と「温泉百名山」についての話しだった。山の品格・山の歴史・山の個性から深田久弥氏が選んだ「百名山」と、温泉の品格・温泉の歴史・温泉の個性を組み合わせるというものだ。「日本百名山」の中で、温泉のない山を除き、良い温泉のある百名山にふさわしい山を加えるという企画のようだ。
例として五つの山と温泉の紹介があった。白雲岳(2229m)・大雪高原温泉(単純酸性泉、47℃)、八甲田山・酸ヶ湯温泉(酸性・含硫黄・鉄ーアルミニウム硫酸塩・塩化物泉)、乳頭山・黒湯温泉(単純硫黄泉)、雪倉岳・蓮華温泉仙気の湯、三瓶山・三瓶温泉(ナトリウム塩化物泉)。健康で足腰が丈夫なら、ぜひ行ってみたいところばかりだ。登山よりも、その山を眺めながらの温泉なら、ぜひ行ってみたい。
詳細は温泉達人コレクションのサイトで。
講義⑥温泉と入浴剤について
株式会社バスクリン 小松歩
事故による頸椎骨折などの後遺症回復の、自らの湯治体験から温泉に係わるようになり、現在はバスクリンに勤務してる。現に湯治体験により、頸椎骨折という大変な障害を受け、その後遺症も酷いものだったそうだが、それを克服したことに因る説得力の強さを感じる。温泉だけではなく、日常の入浴剤の効果についても検証されている。
講義⑦温泉旅館の再生
株式会社飯島綜研代表取締役 飯島一敏
残念ながら欠席
講義⑧温泉地と旅行企画
江戸川大学社会学部教授 崎本武志
欠席
最後に
温泉観光実践士の講座は、温泉に関連しての様々な切り口からの講義があり、とても面白い。内容が多岐に亘っているだけに、いささか物足りないと感じられるところもあるが、毎回少しずつ内容が変わり、面白い。年に一度だけだが、別の所でもお目にかかる機会はあるのだが、温泉ソムリエのオフ会のような懇親会は、季節柄忘年会のような楽しみもある。
年齢的にも健康面でも、あと何回くらい参加できるか分からないが、元気なうちは毎年参加したと思ってる。
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