金曜日の始業前、社長と会う機会があり来期の契約更新について、早期の退職も含めて話した。社内には仕事の内容については有能だが、部署内にあっては組織の癌とも言うべき人が居る。そういう人を面白がってみていたが、それにも飽きて、そういう連中の相手がむしろ煩わしく感じてきた。何よりも、自分自身で急激な体力の衰えを自覚できるようになった。
思えば妻を喪い、約半年間も寝込んでしまった。1時間以上も掛けて、妹や娘が食事を運んだり話し相手に来てくれた。病気でもないのに、常に側に居る人を喪うと言うことはこれ程までも辛いことなのかと感じたものだった。自営を辞めていて、気分転換にとハローワークで紹介された今の会社に契約社員として入った。もう6年近く経つ。鉄工所の経営から最期は特殊溶接の賃仕事になり、60歳で自営を閉鎖し自由気ままに過ごしていた。妻亡き後に就いた最後の仕事は、食品加工という女性中心の職場という少々変わったところで、大いに気分転換にはなった。
三回忌までは想い出や、そこに居ないことの空虚感で悩み、鬱状態になるそうだ。それでも七回忌までには諦めもつき、少しずつ一人に慣れて立ち直れるという。残念ながら、七回忌を過ぎてもいまだに入院中の部屋の匂いや、着替えさせたときの匂いが浮かび、消えることがない。
それでもやっと一人暮らしの中にも、楽しみや好奇心を持って学びたいことが出てきた。70歳を前にして、本当の一人暮らしという自立が出来るように成ってきた。契約社員としての契約更新はせず、幾らか早めの退職も考えている。気持ちが吹っ切れてくると、いよいよ完全リタイアの時かもしれない。
観音霊場の歩き巡礼と写経、地理歴史と地方の食材と伝統料理、もちろん温泉や冷鉱泉の源泉掛け流しの秘湯探索など、やりたいことばかりが浮かんでくる。何となく子供の頃に戻ったような、次から次へと様々な方向の興味が湧き、好奇心が抑えられなくなる。
来期も更新をと言われ、認められてる喜びもあるが、やはり体力に自信がない。体力が衰えた代わりに好奇心が強くなってきた。いよいよ自立の時なのかもしれない。
最大の問題点は生活費だが、生活費を主眼に置いては、結局は動けるうちは働くことだけで終わってしまう。年金は年間に100万円程度。この中から税金や保険料、食費や光熱費を払う。今まででは考えられないほどの節約生活になるだろうが、その中から趣味や遊びの費用は捻出できると考えてる。時間と金銭面での余裕を持ってよりも、それもまたそれで面白そうだと思う。
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