熱海という名にふさわしい熱い湯、源泉掛け流し(流しっ放し)の激アツ温泉、一泊してこの熱湯を楽しんだ。何というか、この宿を思い出したのはテレビ録画しておいた、戸倉上山田温泉「日本ボロ宿紀行」を見てだ。戸倉ホテルのボロ宿というが、汚いボロ宿では無い。千曲川を挟んで、新戸倉上山田温泉の「旅館やすな」も昭和の香りだった。
熱海温泉 福島屋旅館
この福島屋旅館、建物は昭和28年という。ボロといえばボロだが、何とも懐かしさを感じる。建物の中、2階は湯治宿を思わせる。二階廊下の角には、洗面所だか台所だか、良い雰囲気がある。掃除はされているが、建物自体は古く、トイレも共同だった。
宿の前には「熱海七湯」のうち「風呂の湯・水の湯」がある。味わう事は無かったのだが、「風呂の湯」は熱海の代表的「ナトリウム-カルシウム・塩化物泉」、なのかな。福島屋旅館は使用温泉は「ナトリウム-カルシウム・塩化物泉」だった。
横に並んでる「水の湯」は、真水を温めたような無味無臭の温泉だそうだ。1.5m離れて並び、全く違う泉質が湧き出てる事も面白い。
部屋はわずかな床の間があり、小さなテレビがあり、畳では満たされなかったのか、角が三角に板敷きになってる。
風呂は階段を降りた先に。加水・加温も消毒もされてない、「源泉掛け流しっ放し」という表現がとつぜん思い浮かぶほど素晴らしい。脱衣所の床板は軋み、板と板の間には隙間が空き、当に昭和の銭湯の脱衣場だった。それがまた良い。
3時にトイレに起きると、下で湯船を洗ってる音がした。湯に入ろうと5時頃に行くと、掃除が終わり湯を入れてる。7時頃に行くとまだ満杯になってなかった。チョロチョロと入れてるのは、湯が熱すぎるからだろう。入ると確かに熱かった。そして、素晴らしい温泉だった。肌に柔らかく、良く温まり、体が冷めない。
この宿は共同湯として、立ち寄り湯としての利用が多いようだ。泊まりは素泊まりと朝食付きだけらしい。近くには食堂も多く、夕食に不自由は無い。
キレイな旅館や近代的なホテルとは比べようも無いが、「日本ボロ宿紀行」が好きな人には最高の宿だろう。
建物の中が全て「昭和」だ。そして温泉は最高の、熱海の源泉そのままだ。
左:古屋旅館。熱海温泉の中でも歴史有る、自家源泉を持つ名門旅館です。旅館フロントのギャラリースペースや廊下には、この旅館に逗留した多くの著名人の遺品や熱海の歴史にまつわる絵画等が飾られています。
右:湯の宿おお川。熱海駅から車で5分。来宮駅近くの閑静な純和風宿です。熱海の食材を活かした食事が評判です。もちろんお風呂は天然源泉です。
こちらもお薦めの宿です。
左:大江戸温泉物語 熱海温泉 あたみ。熱海駅から歩いて7分。熱海駅からの賑わいを眺めなら歩くと、直ぐに着いてしまいます。熱海といえば有名な「お宮の松」にも近く、夕食バイキングも豪華で有名です。
右:熱海後楽園ホテル。熱海駅より送迎バスで10分。全客室オーシャンビューのリゾート型ホテル。自家源泉使用の大展望風呂も有名。
戸倉上山田温泉
戸倉上山田温泉、泉質は「単純硫黄泉・単純硫化水素泉」。明治に入って開湯された温泉地だ。もう8年も前になるのか、60歳で自営を辞めて、バイトがてらに警備員になった。長野に応援として行ったときには、宿は現場近くのビジネスホテルか新戸倉上山田温泉の古い宿だった。
皆はビジネスホテルを希望してたが、源泉掛け流しの「旅館やすな」を特に希望して、何とか叶えてもらった。あの頃から、いわゆる「ボロ宿」で源泉掛け流しを夢見るようになったように思われる。
その後、妻の末期癌が判り、今は一人暮らしになった。温泉と観音霊場巡りと、一人旅行では面白いのか面白くないのか、楽しいのかどうかも分からない。
でもまあ自分なりの、戦後5年後に生まれた昭和男の一人旅自分流の「日本ボロ宿紀行」も良いかも。
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