痛風の痛みは、人に聞いただけでは分からない。かつて経験のない、例えようもない激痛だ。また初診時の医師の知識や説明が大事で、信頼感がないと激しい痛みで不安感が募る。発症時には、尿酸値を下げることよりも痛みを取ることが大事だ。痛みが消えてから尿酸値を下げるのが一般的な治療だ。
9月7日(火) 痛風発症
余りの痛みで、早朝の3時頃に目が覚めた。異常な痛みだ。足の下から甲まで、足首にかけても、猛烈な痛みだ。万力で足の指の骨が、バリバリと潰されて行くような、かつて経験の無い、強烈な痛みが有る。とにかく半端な痛みではなく、歯を食いしばっても涙がにじんでくる。余りの痛みに耐えかねて、さすってみようとしたが、触る事も出来ないほどの強烈な痛みが有る。七転八倒とか、なんとか、様々に痛みの表現はあるが、これほどまでの痛みは感じたことが無い。
市のK総合病院に行くことにした。途中にかかりつけのM病院があるが、もしかしたらこれが話に聞く、痛風かもしれないと思った。しかし、一度も尿酸値が高いと言われた事が無い。子供は他の内科病院で、6.5なので一応は正常だが、いくらか高いから注意するように言われた。自分はこのM整形外科で言われた事が無い。本来は外科だが、標榜科は内科も有る総合だし、半年に一度は血液検査も受けている。
このときには通風などという思いは全く無く、右足だけが水虫に成っていたので、水虫菌が入ったと思った。ビートたけしのTV番組で、水虫菌が体内に入ると危険だと放送していたので、それではないかとも思った
4時頃に救急で入ったのに、結局9時頃まで待たされてしまった。妻に送ってもらったが、何の対応も無いので帰ってしまった。救急の看護士は車椅子を押せないので、奥さんが来るまで待って欲しいと言われた。何も告げずに数時間も外で待たされれば、死ぬほどではないと思ったのか、当然妻は帰ってしまった。
車椅子で外に行き、携帯で来て貰う事にしたが、なかなか来ない。その間の痛みは当に筆舌に尽くしがたいと言うのだろうか。いつまでも妻が来ないのを知り、親切な男の看護士が車椅子の面倒を見てくれた。しだいに車椅子から移動する事さえ困難なほど、震える程の激痛だ。声も出なくなって簡易ベッドの上で丸くなって耐えてる姿を、出勤してきたベテラン看護師が見て、優先的に内科に運び、9時半になってやっと診察を受けられた。
新米らしき若い医師は、全く目も合わさず横を向いたまま「検査」のただ一言だけ。痛みの状況も発症時間も、何も聞かない。尿・血液・レントゲン検査を受けた。30分後に結果が出ると言うので待った。その間の苦痛は、ナタが傍に有れば足を切り落としたいくらいの痛みで、表現のしようもない、経験のない激痛だ。
結果は痛風だった。医師は数分間レントゲン写真を眺めていた。3人の看護士が黙って待っていたのが、なんとも面白かった。緊急で入ってから、何人かの看護士にあったが、皆足の状態を見ると直ぐに通風と判断した。看護士は分かっているのに、医師の判断の時間は長い。しばらく眺めてから「骨には異常が無いようです。血液検査では尿酸値が10.3と高いので、痛風でしょう」で終わった。
結果よりも、今のこの痛みを何とかして欲しい。「1週間か2週間で痛みは消えます。痛みが有るようなら、13日に予約を入れておきます。」これで終わり。こちらの言う事には、全く応える事もなく、特に説明も何も無い。痛みだけは何とかしてほしい。「痛みは1週間から10日くらいで治ります」の一言だけで、後は横を向いたまま話しかけても無言のまま。これだけでは余りにも冷たすぎる。医師の実態など、こんな物か。
ロキソニン60mgは、歯科医師でも使う一般的な消炎鎮痛剤。
セルベックス50mgは、クスリの胃に対する影響を緩和する胃薬剤。
これで本当に痛みが消えるのか。それよりも、「痛風」と言いながら、どうして痛風の薬は無いのか。尿酸値10.3というのは、あまり高い値では無いと言うことなのか。この若い医師からは、全く痛風に対しての注意事項も、痛風は何なのかも全く説明が無かった。通風に関しては、医師の説明責任は無いのだろうか。
この若い医師はマニュアル通りで、本来は正しい治療法だったらしい。だが、この医師の対応に対しての不信感から、その後長い間苦しむ事になった。医師の説明責任は絶対に必要な事だ。もちろん若い医師に対しての不満だけでは無い。掛かり付け医が数年間にわたり尿酸値が高かったのに、何も言わなかった事で、不信感も募った。
9月8日(水) 2日目
痛みが全く消えない。激痛というのはこう言う事なのかと思う。養生の間はノンビリ出来る、などと思って居られるほど気楽な痛みではない。普通の激痛というのは、神経が慣れてきて、多少は痛みが薄らぐはずだ。それが痛風に関しては、そんな類いのものでは無い。
ますます激しく、痛みが足首から膝まで這い上がってくるようだ。シビれるような、うずくような、それでいて万力でバキバキと骨が砕かれていくような痛みがある。まさに砕かれて行くという表現がぴったりで、その痛みがいつまでも消えない。その痛みが一瞬も休むことなく続く、砕かれて行く痛み。ジッとしていても体が震えだし、そんな自分自身のわずかな動きでも、更にバキバキと骨が砕かれていく様に痛みは激しくなり、範囲も拡がる。ただただ涙がこぼれ落ちてきてしまう。
全く衰えない激痛に、M整形外科病院に行く。かかりつけの病院なので、とにかく何でもいいから痛みを抑えてもらいたいと頼む。総合病院などといっても、医師は決して経験豊かなほうではない。むしろ個人病院の方が安心だ。友人が研修生の時に、名古屋とか九州の大学系列の総合病院に行ったと言っていた。K総合病院は逆に向こうから来ているらしい。失敗しても責任から逃れられると言う方式なのかもしれない。失敗して腕が上がるのだから仕方ないかもしれない。総合病院の良い所は、検査結果が直ぐに分かるところだけかもしれない、などと憎しみにも似た感情が湧いて、痛みは更に増幅される。
M整形外科病院で、昨日の検査で尿酸値が10.3だと伝える。痛みが激しい事、とにかく痛みを緩和してもらいたい事を伝えた。血液採取の後、すぐに点滴で痛みと炎症を抑える事になった。他に処方されたのは、通常の高血圧と心臓の薬と、ボルタレンサポ50mg・ユリノーム。
ボルタレンサポ50mgは、痛みや熱を下げる時に使う座薬。1日に1回までとし、2回以上は使わないようにと注意された。
ユリノームは高尿酸血症の改善のための薬。尿酸を排泄させる薬で、痛風患者の薬として有名なようだ。朝夕1錠ずつ2回服用。
何よりも驚いた事は、M医師の「2年くらい前から尿酸値が8.5を超えていたから、痛風になってもおかしくないね」の一言だった。M医師は妻の知人が働いてる病院で、本来なら即刻他の医師に変わるべきだった。不仲だったので、これ以上悪い状況にしたくないので、我慢して通っていた為に更に長引いてしまった。
帰ってきたら眠くなった。そういえば、火曜の明け方3時頃からほとんど寝ていなかった。やはり個人病院の方が安心できる。通風と解れば、それなりに痛みを和らげる治療をしてくれる。この日は熟睡できた。
9月9日(木)3日目
いくらか楽に成ったので、今日は仕事をする。楽になったというような状態では無いが、生活に追われ、何とかしなければ。負け犬的な・・・、何とも惨めな気持ちになる。
なんと、以前は簡単に出来たのに、今回は前工程がますますダメに成っている。5mm以上もずれていたり、ネジレの混ざったのもある。何とか必要量だけこなして、明日の準備をする。食事もしたくないほど苛立ちを感ずる。こういう製品を作っても、どうにか使えるようにしてしまうのは良くないのかもしれない。いつまでも改良をしようと言う気持ちに成れないのではないか。
わずか20メートル程度を、ヨチヨチと歩く。普通の人には想像も出来ない痛みだと思う。
イライラするのが良くないのかもしれない。夕方から疼くような痛みに成ってきた。疼くようなといっても、生易しいものではなく、親指付け根の下と上のふくらみの部分が刺すように痛い。1週間で良くなるとか、数日で激しい痛みも無くなるとか言っていたが、全く収まるような様子も無い。。
9月10日(金)4日目
朝から親指の付け根の横が疼くような、それでも激痛に近い痛みが出ている。何とか午前中は仕事をしたが、椅子に腰掛けている状態が悪いのか、使わないほうの右足なのに、どうしても痛い。何としても痛い。仕事に集中できない。M病院に行きたい。尿酸値を下げる点滴をすると、少しはやわらぐ・・・様な気持ちもする。
お昼に上がると、「ダイエットと言うから、何にして良いか解らないので寿司買ってきた。2個くらいなら大丈夫だろ」って。途端に痛みが増してきて、出かける気分にも成れなかった。座り仕事の工場から自宅までヨロヨロと歩いたが、歩いた事も良くなかったのかも。思い出して、痛み止めの座薬を使ってみた。座薬は効果が強いので、1日に2回までとし、それ以上は使わないように言われた。そこまで厳重な注意が出るくらいだから、さぞ効果も大きいだろうと期待したが、大した効果など無かった。所詮、痛い時には何をしても痛いものだ。
通風-1|発症前はストレスと成人病だらけ
痛風-2|発症3日前からの違和感という前兆
痛風-3|発症の激痛
痛風-4|発症から1週間の激痛
痛風-5|激痛はいつまでも・・・泣けてくる
通風-6|まだまだ続く痛風の痛み
痛風ー7|いつまで続く痛風の痛み
痛風-8|1年間が過ぎて反省する事
痛風-9|痛風に対する知識も必要
通風ー10|最後に・・・