3×2×10 板厚が違う為に起きたズレと修正法やゴミの問題について

板厚が違うと後工程が負担が起きる

 板厚が違う。通常の板厚は3.5mmだが、この場合4.0mmの板を使った。理由は3.5mmが無かったから。この様に簡単に変えては様々な問題が起きてくる。

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 抜き型は3.5mm用を使った。溶接前の曲げ型も3.5mm用。この場合、母管と枝管の芯金を作り替えて、4.0mm用にしなければならない。ズレさえ無ければ、開きが狭くなるので溶接は難しくない。3.5mmの板では、枝管側の先の開きは8mm以上に成ってしまい、溶加棒は大量に使い、電流を弱くしても加熱し過ぎて、溶接は極めて難しくなり熟練が必要となる。下請けから言えば、全く合わない。1日に100個も出来ないし、内部を検査仕上げまでしなければならない。その点、最初から4mmの板を使えば、多少は溶接が楽になる。

 コトブキの時には、裏の修正は全て会社側が行ったので、大量の溶接が出来た。前工程が原因で起きる問題を、全て溶接行程で処理しなければならないとなると、時間ばかり掛かって溶接が進まない。前行程でも、原因を考えずに全て後工程に先送りしていては、いつまで経っても改善は出来ない。

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 枝管の内部。こちらは開きが6mmだが、向こうは2.5mm。3.5mmの板厚の場合、片側に開きが寄らなければ、両方が8mmの開きになる。開き方が寄ってしまうと、8mm以上も開いて裏当てとの問題も起きてくる。3.5mm用のまま曲げてしまうと、良く見るとかなり押されてるのが分かる。この様に極端な押し過ぎでは、溶接は面倒になる。

 特に曲部に移行する所が滑らかになっていないので、シーソー状態になる。この部分から、両方が浮いてしまうことになる。この形状に合わせた裏当てを作っても、型自体が4mmではないためにズレが起きてしまい、完璧な裏当てなど出来ない。

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 母管の内部。4.0mmの板なので、当然母管側も押し過ぎになっている。それでもいくらかは滑らかに曲がりに入っているので楽だ。しかも板厚が厚いので、開きも狭くなったので、やはり溶接はし易い。確認はしていないのだが、芯金は4mm用を使ったのかもしれない。元々はこのサイズは4mmの板を使用していた。板厚や材料価格から、途中で3.5mmに変えた物だが、3.5mmが入手しにくいということで、時々こういう事になる。

 板厚や型の芯金の管理、素材の発注に関しても、工程管理が出来ていないと、各工程で様々な問題が起き、特に溶接行程で充分に気を付けないと品質の低下になる。むしろ、裏当てと合っていない方が早い溶接が出来る。また溶接部が開いてる方が、早くできる。しかしそれは常にゴミやガスや空気の巻き込みの危険がある。確実に高品質の溶接を行うためには、いずれ別項で述べるが、特別な溶接法を行わなくてはならない。それは経験と時間と、大変に神経を使うので、大量な溶接には向かないし、まして一つずつ検査をして、修正まで溶接行程で行なわされては、手抜きをせざるを得ない。故にこのサイズに関しては断りたくなる。

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 板厚が違うために、ズレが起きやすい。単純なズレではなく、中心線がずれている。この状態での溶接は大変に難しい。ズレの中でも、最もやっかいな状態だ。それでもまだ、板厚と型と曲げでの芯金が合っていれば、この状態でも問題なく溶接は出来る。最も厄介なのが、寸法が足りないということで、高い方を無理に押して高さだけを合わせてしまうことだ。こうなると溶接だけでは解決できない。無理に溶接をして、後で削って修正するしかない。

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 2図の枝管先の所でも述べたように、滑らかに直線から曲線に入っていない。その為にわずかなズレが有っても、境目が裏当てに密着しているので、溶接部が熱を引かれて狭くなってる。この様な状態の場合、この部分よりも枝管や母管部が浮いたようになり、溶接部と母材の間に段差が生じる。

 良く見ると先から少し入った所に黒い物が見える。これはゴミの巻き込みで、燃えた後。たぶん板の破断部に糸状に着いた、小さな潤滑用ビニールラップだと思う。この程度では全く問題はない。

内部に起きた溶融不良に見える段差の修正法

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 中心線のズレが大きいので、かなり注意しないと溶融不良のような段が出来る。これを防ぐにはじっくりとゆっくりと弱い電流で確実に溶かすこと。またこの状態に適した当金を作り、トーチの方向を変えることにより、溶融池の流れを変えること。これは裏当てが合っていない。合っていればここまで大きな段差は出来ない。小さな段差の場合でも、開いている場合は、注意をしないとこの様になる。溶接部の開きは、0.5〜板厚の半分までが最も良いと思う。

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 差を埋めるように、内側から弱い電流で確実に溶かし、表面をならす。この時に最も大事なことは、確実に下まで溶かすこと。表面だけでは、中に気泡が残る危険もある。特に問題なのは、この段差の中にゴミの巻き込みがあった場合で、先ず削り取ってから盛るか、盛るときに浮かせるようにしなければならない。別項でも書く予定だが、どうしても巻き込んだゴミが取れないときには、上から充分に溶かしてこの部分を削り取り、場合に応じて更にまた上から溶かす。出来ればトリタンは細い方が良い、が実際は一々変えていては時間の無駄になる。根本的な解決策は、あくまで前工程でトリクレン洗浄を行うことだけだ。

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 表面を軽く削って仕上げる。表面が滑らかに出来ていれば、軽く削るだけで仕上げられる。前に書いたように、削っても溶融不良が認められるときには、上からかなりの量溶かして、中を再び削って仕上げる。この時間は溶接の何倍にも成る。故に、完璧な溶接を行うには、溶接工の求めるような前工程が必要になる。

ゴミの巻き込みなどに関して

 油脂類の汚れやゴミ等に関しての問題点は、ゴミや油脂類の影響で書いてます。

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 途中で黒い物が見える。これはゴミが燃えて表面に浮いてきた物だ。主に油脂分があるとこの様になる。ビニール等の場合、溶けて燃えながらガスに吹き飛ばされる様になる。油脂分が特に多いと、内部に水が飛び散ったような模様が出来るが、このサイズの様に時間を掛けて溶接しなければならない場合、油脂分も燃えてしまうのでほとんど問題は無いようだ。溶接表面がこの状態なら、焼き過ぎではないので、後のバフ削りが楽になる。表面が焼けたように黒くなった場合、固くてバフで時間が掛かってしまう。

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 ズレが大きい場合、裏波の横に酸化物が出てくることもある。しっかりと裏当てが出来ていない、またはこの様なズレが有って浮いてる様な場合、同じ電流でも溶け過ぎが起きて、溶加棒を加えても温度を低くできないのでゴミやガスの巻き込みが起きてしまう。この様に上に浮き出た物は簡単に削れる。中に入って、穴のようになった場合、7画像で述べたように、時には何度も同じ所を削っては溶接をする必要がある。こういう状況は溶接の行程では防ぎようがない。

 収入的に余裕が無いので書けないが、いずれ書きたいと思っている溶接法なら、誰にでも高品質な溶接が出来る。条件として、前工程でトリクレンかの洗浄が行われてることで、開き過ぎの場合は遅くなるが、母材とトーチとガス流量の関係が分かれば、形状が同じなので溶接は難しくない。

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