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大川溶接所
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SUSチーズ継手製造法

溶接の問題

溶接での不良は、基本的な溶接技術があれば起きる事は無い。不良品の発生のほとんどの問題は前工程に有る。現状として、前工程での技術の未熟やいい加減さでの不良の発生原因を、溶接で救っているようなものだ。金属学・素材管理・加工技術・TIG溶接・人事管理等、全てに亘る知識を持った工程管理が必要だと思う。

1、電流との関係

ギャップがほとんど無い場合、電圧を高くし過ぎると溶接部が薄く成る可能性が起きる。溶融地の周囲に肉が寄り、溶融地中心部が薄くなる。溶接速度を落として電流を下げ、溶融地を広げないように注意する。

逆に広がっている時には、多少電流を上げて溶材を多く溶かし込む必要が有る。また、広がっている時にはウィービングに充分に注意して行う。ウィービングが十分でないと、溶融不良が起きる。母材を溶かしながら溶加棒を流し込む、いわば鋳物のようだ。この様な溶接では、ゴミや油の燃えかす、ガスや空気の巻き込みに注意しなければならない。

2、ズレが起きている場合

ズレが起きている場合には、ギャップの広狭に関わらず幅広く溶かす必要が有る。また、電流は高めにして、とにかく確実に広く溶かす必要が有る。後工程のバフは、その場合には作業がやり難くなるが、裏波を出し溶融不良を無くす為には、とにかく溶かす以外に無い。特に小径物でR部分にズレが出た場合、溶接線を曲げなければ成らないが、溶融幅が狭いと溶融不良に見えてしまう。後工程のバフが大変に成り、バフも通常以上に使う(倍以上の時間とバフ使用量と思われる場合もある)が、全てが前工程の問題なので、あくまで幅広く溶かす事のみ。ただし裏波が母管よりも盛り上がった場合、それを削るのがバフ以上に大変な事になる。下請けの場合、この点を溶接前に話し後処理の方法についても打ち合わせておく必要が有る。現在、当然の如く溶接工がこの部分を削っているが、溶接以上に時間が掛かる場合もある。社内溶接工で単価計算をすれば、どれほど余計な事か分かるはず。

素人ばかりの工場では、処理の難しさや前工程での改良も全く考えずに、「適当に削ればいいよ」で済まされるが、ステンレス鋼の継手として使用されるという自覚が感じられないのは残念だ。全ての問題を溶接技術に頼って済ませると言う事が問題で、この手法の消えてしまう原因でもある。

3、ノズルとの関係

ギャップが狭い場合は、ノズル径は小さい方が良い。ガスの噴出し口が狭いとガスの範囲は狭くなるが、溶融地が広がらないのでバフがし易くなる。ギャップが広い時にはガスの噴出し口を広くして、溶融地を大きくする。ガス流量と溶接速度のバランスが悪いと、溶接表面は酸化してバフで固く感じる。

4、ガス量について

ガス量が多過ぎると、溶融地の表面が流れるような状態に成り、充分な溶け込みが出来ない。逆に少な過ぎると、表面が酸化して黒くなり、硬くなってバフが難しくなる。ギャップが広くなるほど、溶接速度とガス量を決めるのが難しくなる。

5、トーチの傾け方

トーチは個人差が有るが、若干進行方向にアークを飛ばす様にした方が融け易くなる。逆に進行方向に頭を傾けると、溶融部が安定するが、溶け込みが悪くなる。トーチをある程度固定した場合は、傾けない方が電流の変化に対して自由に対応できる。

6、トリタンの研ぎ方

3.2mm径のトリタンを使用しているが、1in以下では2.6mmでも良い。研ぎ方は状況に応じて様々なので一概にはいえない様だ。板厚が厚い場合には、先は鋭く研がない方が安定する。

7、総論

ガス流量・ガス噴出し口・トリタンの径・トーチの傾け角度等々、総合的に考えなければ成らない。常にギャップが安定していない状況では、新人に対しての教育も難しい。

A社の時に全く溶接経験の無い者に教えた事があった。トーチ固定の場合、半日で出来るようになり、約1週間の後に自力で当金を取り付け、不良も作らずに溶接が出来た。その後独立して始めたが、不良の発生は無かった。この経験から、初心者でもこの製法は簡単に覚えられて、しかも安定して不良も出ないと感じた。

何度も書いたが、前工程さえ完全なら溶接は難しくは無い。なお、この稿のチーズ溶接法に関する溶接法は、実際に見ながら教えないと難しいと思う。

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