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SUSチーズ継手製造法

チーズ製造工程

TIG(ティグ)溶接によるステンレス鋼チーズ継手の製造工程です。行程数は多いようですが、作り方は至極単純です。単純だからこそ、多品種少量が簡単に出来る訳です。この製造法の問題点は溶接と型の管理、プレス容量です。

1、板から形状にプレス抜きする。

抜き板抜き型には一体型(一度に総体で抜く)と、長方形に切り抜いた素材を片側ずつ抜く方法(俗称、トンボ型)が有ります。前者は小さい物に向いています。後者はプレスの力が少ない場合や、板厚が厚い場合、形状が大きい等でプレスの力が不足してる場合に向いています。必ず抜き型は板厚毎に作る必要が有ります。兼用にすると、溶接時に適切なギャップ状態が得られません。例えば、20sを10s用で抜くと狭くなり、40s用で抜くと広くなります。問題の多くはこの時点が原因である場合が多いです。TRの場合、抜き型を一体抜きにしないで、ギャップの調整が出来るようにして兼用で使う事が有りました。TRの場合に、母管側のギャップが狭い方が良いので、この方法でも全く問題は有りませんでした。

2、1型で四隅を曲げる。

1型押しこの型が最も重要です。単純に曲げるだけでは、曲部の板厚が薄くなってしまいます。ステンレス鋼は伸びが良いので、型の通りに伸びて形状を作ってしまいます。また、周辺部は開放されていますが、全体としては上下前面での圧縮される塑性加工の一種なので、それなりのプレスの力が必要に成ります。力が不足すると適切に曲がっていないので、形状全体の各部分でバックリングが起きて、時には毎回微妙に違う形状に成ってしまいます。直管部と曲部の境も大事で、後工程でズレが起きた場合に、境が滑らかでないと裏波が綺麗に出来ません。溶接時の問題の多くが、溶接を難しくしている原因は、ほとんどこの1型の形状によるものです。また、この加工時のプレスの力と圧縮時のズレも、同じように溶接を難しくしてしまいます。この型だけは充分な余力を持って加工する事が大事です。

更にこの1型では、わずかなズレが溶接時に大きな影響が出てしまいます。ズレが出ても溶接が出来る型もあります。特に西澤鉄工所所有の型は、各方向のズレが出ても、ほとんど問題なく溶接が出来ます。なぜ大丈夫なのかは、実は大変に重要な事なのですが、残念ながら文章だけで説明するのは困難です。多少のズレなら、かつてのコトブキの型(現在は(株)ツツイ所有)でも問題は起きません。

3、2型でU字の曲げる。

U押し単純に中央から曲げるだけです。圧縮時にズレなどの動きが出なければ、特に大きな出力を必要としていません。上型の丸棒の取り付け方には2種有ります。両単面のみを押さえるのは充分に曲げられますが、上型丸棒が曲がる可能性も有ります。全体を押さえるのは最も簡単な方法ですが、充分な曲げが得られず、次行程でズレが生じる場合があります。

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4、3型で横押しして形を整える。

これも単純な行程です。この行程で大事な事は、母管側の芯金を適正に選ぶ事です。板厚は毎回同じではないので、板厚に応じて芯金を用意する必要が有ります。板厚が0.2mm違うと、当然芯金の直径は0.4mm違うわけです。芯金が適正よりも細いと板のバックリングが強くなり、太いと曲部との境がくっきり出て当金と合わなくなります。芯金は簡単に出来るので、状況に応じて代えられるようにした方が良いと思います。前工程のU字曲げで開いている場合は、枝管部分の先端が先に上型に当るので、ズレが出易くなります。また、材質での違いも出ます。

5、溶接をする。

アセトン洗浄前工程の型管理が出来ていて、プレスに充分な力があれば、TSならトーチ固定が可能で初心者でも簡単に溶接が出来ます。TRも適当な溶接ギャップが出来ていれば、綺麗な裏波で溶接が出来ます。反対に、全く溶接時の事を考えずに、それらしい形状だけを作れば、当然溶接に時間がかかって溶接部は硬くなり、溶材を多く使って溶材コスト高になり、バフ時に時間とバフ材を消費します。当金とのズレも起きて、裏波も綺麗に出ません。形状によっては、ズレのためにバフ加工後に板厚が薄くなる場合も有ります。溶接技術で対応は出来ますが、前工程によって毎回違いが起きるようでは問題で、総体として見直す必要が有ると思います。最終的に検査段階で、溶接が問題に成っても、そのほとんどの原因は前工程、特に1型と3型の芯金に起因する事が多いので、同じような事が起きる時には見直す事が必要です。

溶接前のトリクレンかアセトンでの洗浄も、より良い溶接には必要です。写真はコトブキ電器工場の、アセトンでの洗浄です。装置は簡単で、下から加熱して蒸気で洗浄します。トリクレンは再生して使えます。

6、溶接部をバフで削る。

バフには布バフを500枚くらいまとめたバフと、ベルト形のバフが有ります。前者は手にかかる負担も少なく、自由なバフ切削が可能ですが、コスト的には高くなります。後者は直ぐに切れなくなりますが、安いのでバフ単価を低く出来ます。特に技術は要しませんが、最初は薄くならないように気を付けなければ成りません。

7、熱処理、固溶化処理をする。

ステンレス鋼に適した熱処理温度と時間を管理します。この管理が出来ていないと、後加工の成形で割れが発生したり、せっsくかこうが困難に成ります。問題はそれだけではなく、前加工での磁性が消えていないことです。

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8、成形型で成形をする。

成形型に入れるだけです。溶接後に形状が丸くなっていなかったり、バックリングの影響で、母管側の芯金が細いなどの影響で、直管側の径が大きくなっていると、熱処理後の肌荒れで型が傷つくので注意が必要です。また、母管が太いと横に型のカミキズが出ることもあります。最終の成形の段階でも、やはり溶接前行程でのプレスの力が影響します。

9、切削加工をする。

三方削りの切削機が必要です。絶対に専用機が必要です。また、切削開始までのロスタイムも意外と重要に成ります。何回治具に取り付けるのか、考えれば加工費にどの様な影響があるのか分かるはずです。

10、酸洗をする。

専門の酸洗工場に任せる方が安心できます。中和後の堆積したヘドロは、工場廃棄物として出さなければ成りません。中和装置が有れば、小径チーズなら工場内でも出来そうです。

写真はコトブキ電器工場内です。薄い酸の浴槽に一晩漬けておくようです。月産数万本生産でも、これで出来たそうです。

12、検査。

主に裏波の状態や溶融不良を目視検査します。

この様に行程順で書くと大変に難しく感じてしまうと思います。しかし実際は、それ程難しいものでは有りません。抜き行程で板厚と材質を間違えなければ、前の段階で材質別に色を塗る等の管理が出来ていれば、大きな間違いは起きません。仮に板厚を間違えても、溶接でカバーできます。このサイトの中で何度も書くと思いますが、製造の最大の目的を、とにかく溶接を行い易くする事が大事です。各工程は誰にでも出来る簡単単純なものです。技術的にはTIG溶接だけで、溶接が完全に出来れば他には技術的な問題は簡単に対応できます。

多品種少量から、大量の受注にも適応しているのは、行程の単純な事からどの様にも対応できるからです。この製法の最大の問題は、全て溶接に掛かっています。溶接の前工程の出来具合によって、溶接速度はかなり変わってしまいます。溶接に向いているように曲げ加工さえ出来ていれば、所詮は溶接後に成形型で押すので、なんら問題はありません。

この製法では、ストレートチーズ(TS)もレジューシングチーズ(TR)も、差ほど変わりません。むしろ、TSはパイプ製法の方が大量生産に適していて、コストも低く抑えられると思います。TRはパイプ製法には、需要が少ないので向いていないのではないかと思っています。安定した需要さえあれば、今後はTR専門に特化しても充分に活路は有ると思います。

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