根利の峠の小さな町 

根利の峠を過ぎようとする辺りから、根利川の上流に当たる辺りに右折して降りていくと、懐かしい不思議な空間を持った小さな集落に出る。「千と千尋」の世界だね、という人も居たが、確かに何の産業も見当たらないのに、ここには静かな生活の空間があった。

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2008年7月27日

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 俗に言う「根利の峠:ねりのとうげ」というのは、正式名称としては存在してない様だ。桐生から足尾への、旧銅街道(あかがねかいどう)国道122号線を、水沼駅手前の「下田沢」信号機を左に山に登る様に曲り、日本ロマンチック街道と呼んでる国道120号に至る、約40km区間を県道62号線に指定されている。この62号線の中間部に位置している長い峠を、俗に「根利の峠」と呼ばれて親しまれている。

根利の峠のトンネル 県道62号線は、桐生方面からは老神温泉へと行くときに使われる。今は長いトンネルが出来て、自動車での通行も安全に便利になってきた。このトンネルが造られた辺りが、秋には紅葉が最も美しい所だった。道路はクネクネと曲がり、勾配もきつくて道幅も狭く、慣れない者には紅葉どころではなかったようだ。老神には最も近い道なのに、ここを通るのを嫌う人も多かった。ところが面白い物で、トンネルが出来たら紅葉が楽しめなくなったと言い出すのだから。

 国道122号からトンネルまでは、昔の里山の風景が続き、このトンネルの辺りから山に入る。トンネルを抜けると、昔の「根利の峠」の面影になるのだが、残念な事に昔ほど運転技術を求められなった。山間部のドライブには、景色も良くて面白い所だった。

桐生方面から左折して根利の町へ 北毛は温泉地が多く、最近は特に「しゃくなげの湯」に行く事が増えた。その為に根利の峠を通る事も多く、その度に気に成っていたのが「けやき亭」という旅館の看板だった。「天然いわな」とか「そば」というのは分かるが、「寿司」といってもこんな山奥で、しかも根利の峠の下には、何も無いはずだと思いこんでいた。この看板のある所に、地元の野菜を販売してる八百屋がある。地元産の野菜を主にしてるだけあり、価格が安い。そんな話をしていたら、この下の根利の集落には地粉のそばを食べさせる店があると聞いた。その、ソバを食べられる旅館が「けやき亭」だった。

 狭い急な道を下ると急に開けて、意外な事にどこかの旧道を思わせる集落に出る。狭いが整備された道の両側には家が並び、静かな佇まいは今までとは別世界に入り込んだ様な感覚になる。ここは確かに「千と千尋」の世界だ。

根利道の宿場町 後日、根利の歴史を少し調べてみた。根利の峠と呼んでいる下には、嘗て「根利道:ねりどう」があり、ここはその宿場町だった。沼田から会津への沼田街道と、大間々から足尾への銅街道の、その二つの街道を結ぶ道であった。さらには大間々へ沼田の繭を運ぶ重要な道でもあった。大間々は明治以降、桐生をしのぐ繭糸産業で大いに活況を呈した所でもある。その源泉を、この根利道が支えていた事になる。いわば根利道は、群馬県内のシルクロードといったところだろう。

 また更に遡れば、根利道は赤城山東側中腹を越えて渡良瀬川上流へ抜ける重要道路で、東毛や日光への道でもあった。戦国時代には、上杉勢が東毛攻めを行うにも、沼田城からこの道を使った様だ。

 歴史を知ると、この小さな集落に残る独特の品位の様なものを、実感として分かる様な気がする。時代に取り残され、今に引き離された様な朽ち果てた空気でもない。自ら現在を放棄した様な、厭世的なものでもない。長い時代を経て護り続けてきた、強い自負を感じさせる。昔の写真で見ると、藁葺き屋根の家が並んでいるが、残念な事に今は一軒も見当たらなかった。

けやき亭の帳場 「けやき亭」はこの集落に入って直ぐの、左にある旅館だった。ソバは地粉100パーセントで黒く、注文してから打ち始めるので時間も掛かる。その間に家の中を見学したり、周辺も歩ける。この旅館の帳場が、何とも懐かしい昔の映画にでも出てきそうな雰囲気があった。

 食べながら女主人に聞いたのだが、ここには2軒の宿屋があるそうだ。こんな狭い所に2軒の旅館と聞いて驚いたら、前を流れる根利川には独特の水生動物が多く、研究者が学生と共に訪れる事も多いそうだ。また、道をそのまま進めば「森林技術総合研究所林業機械センター」があり、林業の為の機械設備研修も行われているそうだ。全国の林業に携わる人達が、機械化を導入する為の研修に来てる。

根利町を流れる根利川 県道62号から降りた所から県道257号が始まり、終点地は「東毛酪農根利育成牧場」に成るそうだ。この「東毛酪農業協同組合根利牧場」は、5月から10月まで入場無料で一般の人にも開放されている。夏の間だけ乳牛を預かるところのようで、50haの牧場内に放し飼いにしてある。特に観光施設として作られた所ではないので、売店などは無い様だが、牛乳は販売してるそうだ。弁当持参になるが、自然の中で過ごすには良い所だ。

 根利川を挟んだ小さな町だが、この嘗ての宿場町の散歩は煩わしい汚れから脱皮できる様だ。

 狭い道を一人でチョコチョコ歩くのも良いし、ヤマメが飛び跳ねる川に降りて、ボンヤリとせせらぎの音を聞くのも良い。広い自然が良いなら牧場まで足を伸ばすのも良い。この根利の峠から降りた根利の宿場町辺りは、別の時間の流れに成った様だ。この宿場町もやがて消えてしまうのだろうか、どこからも人々の話し声も子供の声も聞こえてこなかった。


周辺の施設

東毛酪農業協同組合根利牧場。牧場祭りや搾乳体験が行われるようですが、特に観光施設はない。トイレや駐車場があり、入場無料だが、施設の案内などはない。

森林技術総合研究所林業機械センター。事前に連絡をすれば、施設内の案内もしてもらえるようです。各種の林業機械や、林業の大切さを知り、国産材の木造建築を見るのも勉強になるはずです。

しゃくなげの湯。根利から沼田に拠りに行くと、南郷温泉しゃくなげの湯がある。最近は特に有名になった様で、随分と遠くからも来てる様だ。山奥の農村の、根利川沿いに湧き出す温泉は、心身共に癒される。

けやき亭
群馬県沼田市利根町根利869。電話0278-54-8566。FAX0278-54-8673。地粉の真っ黒なソバは、当日でも注文できる。割烹料理は事前予約が必要。宿泊も要予約。建築に興味のある方には、天井裏なども見せてもらえる。